遺伝子検査の信憑性
遺伝子検査の信憑性には二つの側面があります。
一つは検査そのものの信憑性です。
もう一つは遺伝子型の違いとその表現型、つまり、こういう人であるというタイプ分けの信憑性です。
まず、最初の方ですが、遺伝子検査は得られた微小な細胞の残骸からDNAを増幅して、それを化学的な手法で読み取ることで判定します。
判定の仕方にもいくつかあり、見たい一塩基多型しか反映していないダイレクトプローブ方式、多数の変異を一気に調べ上げる次世代シークエンス、そして、我々がやっている古典的なダイレクトシークエンスがあります。
ダイレクトシークエンスは見たいところ周辺だけをピンポイントで増幅して見る方法で最もコストがかかる方法ですが、その他の方法であやふやなところを確認したいときに用いられる方法です。
この方法を使うと100人に1人くらい元々のDNAの状態が悪くて増幅が綺麗にいっていないサンプルが出てきます。我々はそういう場合、再度サンプル回収を依頼したり、2本目のサンプルでやり直します。
我々のやっているダイレクトシークエンス法以外ではそんな風にサンプルが汚くても結果が自動的に出てしまうんですよね。
つまり、再度のサンプル回収の可能性をうたってない遺伝子検査は自然に発生するサンプル不良を見逃してしまう体制であるとも言えます。
しかも、恐ろしいことにそのことを知って丁寧にサンプルを取っても同じことが起こり得るということです。よく考えてください。1人300遺伝子も調べているところが目視で一つ一つ調べられると思いますか?値段を時給換算すればあり得ないことがわかるはずです。
我々は一つ一つの遺伝子を周辺のデータの綺麗さと共に一つ一つ目視で、かつ、2人によるダブルチェックで調べています。
もう一つはタイプ分けの信憑性です。
科学的には、遺伝子多型と科学者が設定したタイプ分けのとの相関を統計学的に処理して、そこに有意差があるかどうかを判定します。
その意味で、科学的、統計学的には間違いなく、意味があると考えられますが、サンプル数がちょっと少なめだったり、人種差が元々あったりして、どうしても偏りが出てしまいます。
何より、成績が上がったかどうかを対象としている遺伝子検査はほぼないと言っていいです。強いて言えば、ヨーロッパであった大学進学率に関する遺伝子検査くらいでしょう。
ただし、視覚で覚えるタイプとか、エピソード記憶タイプなどのもっと漠然としたタイプ分けはたくさんされています。
我々はそれらと勉強法の組み合わせがどれだけ成績を上げるのかを直接調べに行きます。
本来、個人の特性と勉強法の組み合わせでなんとなく上手くいった人が進学していきますが、成功して次の目標に向かっているので、そのノウハウは闇に葬り去られ、毎回、一人一人が五里霧中の中、個人に合った勉強法を探索しています。その中で当たりくじを引けたものが次のステップに進めているのがが現状です。事実、ほとんどの人が成績が上がらず、むしろ、下がることもあり、上がってもすぐに下がったりの連続のはずです。
努力したものが勝っているわけではありません。才能があるものが勝っているわけでもありません。適切な勉強法を引き当てたものが勝っているわけです。因果関係を見誤らないようにしましょう。
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